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Quique Sinesi - Hikaru Iwakawa / deseo

ぼくが岩川光の音楽にであったのは2012年の秋、東京の小さなライヴハウスでのことだった。岡山でも馴染み深いピアニスト伊藤 志宏とのデュオ・ライヴ。そこで驚いたのは、たしか楽曲の半分ちかくをエグベウト・ジスモンチ&エルメート・パスコアルの楽曲に割いていたことだった。しかもそれをアルゼンチンの伝統楽器ケーナで事も無げに演奏。南米の伝統的な楽器で、南米を代表する現代の素晴らしい音楽家の楽曲を演奏する日本人。彼は僕の「日本人ケーナ奏者」のステレオタイプなイメージを、その演奏で軽やかにそして心地よく壊してくれた。ひょっとすると彼は南米のケーナ奏者以上に、その楽器による表現をアップ・デートしているのではとさえ思えるほどだった。

その年末、彼は同年5月に念願のカルロス・アギーレとデュオで初来日を果たしたばかりのキケ・シネシとのデュオ公演を成功させた。ぼくは姫路HUMMOCK CAFEで観る機会を得たのだが、キケとのデュオは、これまで
キケと数々の作品を残しているマルチ・リード奏者マルセロ・モギレフスキーとのデュオに、勝るとも劣らない圧巻の演奏だった。

そして今年3月、縁あって彼のトリオによる岡山公演を微力ながらお手伝いすることになった。3人の音楽家が楽器を、その響きを、無邪気にそして限りなく拡張していく… 佐藤芳明(アコーディオン)、林正樹(ピアノ)という3人の強者が繰り出す、ときに繊細で、ときに野趣溢れるエモーショナルな演奏は、終演後の岡山のお客さんの鳴り止まない熱い拍手がその素晴らしさを証明してくれていた。

本作は2012年のキケ・シネシと岩川光のジャパン・ツアーから、その後岩川がブエノス・アイレスに居を移し継続している、お互いの活動と
フレンドシップを通し、満を持して発表されたデュオ・アルバム。そうでなくてはここまで創造性豊かに対等に表現し合った完成度の高い作品は発表できないだろう。キケのみならず、ファン・ファルー、ディノ・サルーシ、ノラ・サルモリア等おおくの名だたるアルゼンチンのミュージシャンたちから岩川光が賞賛され、ラブ・コールを受けるのも、この作品を聴けば頷けるだろう。


blancocielo * 音楽:アルゼンチン * 04:30 * - * - * - -
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