アルゼンチン・コンテンポラリー・フォルクローレ・シーンの女性ヴォーカリストを語るうえで、リリアーナ・エレーロと双璧をなす存在といってもいい存在、シルヴィア・イエイオンドの新作が届きました。
リリアーナが「動」ならシルヴィアは「静」といった感じでしょうか。それゆえに昨今のアギーレ周辺のシーンにとてもフィットするヴォーカリストだとおもいます。
本作はメルセデス・ソーサが、作曲家のアリエル・ラミレス、詩人フェリックス・ルナとともに1973年に発表した「MUJERES ARGENTINAS(アルヘンティーナの女達)」のカバーアルバム。折りしも昨年メルセデス・ソーサは天に召されてしまいましたが、現代的な息吹を吹き込む事によって、その遺伝子を受け継いでいこうとするシルヴィアの姿勢が伺いとれます。SEなどを効果的にとりいれたとてもシンプルでアコースティックなサウンド。名曲「アルフォンシーナと海」ではこの曲の詩を1938年に命を絶った女流詩人、アルフォンシーナ・ストルニの同年に録音された肉声が冒頭を飾っています。
35分足らずの短いアルバムですが、時空を越えてフォルクローレのミューズが出会ったような素晴らしい作品です。
余談ですがキケ・シネシ、マリオ・グッソ等が参加のシルヴィア・イリオンドの2003年の名作"
Tierra que anda" 。ジスモンチのレーベルCARMOから滋味なジャケット差し替えでリリースされていますが(笑)、当時の感触としてアルゼンチン盤のほうが音圧があって良かった印象があります。CARMO盤は比較的入手し易いとは思うのですが、僕はアルゼンチン盤をオススメします!