<< December 2010 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

Chano Domínguez / Piano Ibérico チャノ・ドミンゲス★

いや〜冒頭からシビレますね。スペイン・ジャズ・フラメンコを代表するピアニスト、チャノ・ドミンゲス。彼の新作はEMIスペインはブルーノートから。久々フラメンコの熱き血潮が漲った好作品です。アルベニス、ファリァ、モンポウ...チャノが敬愛するイベリア半島の偉大な作曲家の楽曲と、オリジナル曲全10曲。ピアノとパルマス(手拍子)、カホンなどのパーカッション。それに数曲ヴォーカルという、ベースレス4人編成。これがチャノの中高音を生かした素早いピアノの運指とパーカッションの「リズム」を際立たせ、激しくパーカッシヴに鳴り響かせます。チャノまるで水を得た魚のよう。ちょっとディープ・ルンバを想いだしました。久々の快新作!

チャノ・ドミンゲスは近年ではオーソドックスなピアノ・トリオ作品や、ややフュージョンよりの作品もありますが、新作”Piano Ibérico”がそうであるように、自信の生まれた土地に根ざした「訛り」のつよいリズム、メロディのほうが俄然グッときます。

おすすめしたい過去の作品は、スペインのレーベルKaronteから発売された90年代から2000年初頭までの諸作品。トマティート、エンリケ・モレンテ等当代を代表するフラメンコ・ミュージシャンと、スペインのジャズ系ミュージシャンが参加。フラメンコに裏打ちされたコンテンポラリー・ジャズ・サウンドを見事に表現しています。楽曲もすばらしく、それに加えてジャケットも素敵。紹介しているKaronte時代の2枚組ベスト・アルバム"1993-2003”はその時代を俯瞰できる好パッケージでオススメです。
Chano Domínguez hp: http://www.chanodominguez.net/
blancocielo * 音楽:スペイン * 05:19 * - * - * - -

tony chanty / あしあと ★

tony chantyにであったのは、昨年デジタル配信された「caravan / かぜのゆく」でした。すこし大人びた低いトーンで歌う彼女のうたごえとメロディー。何故だかぼくの脳裏には、懐かしいこどものころの風景がよぎり、穏やかな、やさしい感覚につつまれたのでした。
そして彼女のライヴをはじめてみたのが今年の夏。岡山はDeco's Kitchenでのピアノとうたの弾き語りによるソロ・ライヴでした。不器用そうな彼女から響く等身大のうたごえは、脆く消え去りそうでいて、優しく、そしてつよく光り輝く。ぼくらはその光を、たいせつに、そっと包み込む。その記憶がそのままつまったアルバムです。
tony chanty myspace : http://www.myspace.com/tonychanty
tony chanty Live at 城下公会堂: 2011年1月21日(金) @城下公会堂
blancocielo * 音楽:日本 * 15:30 * - * - * - -

モデラードな2010年ベスト・アルバム

あっという間に2010年も終わりですね。
今年はゆるやかにmoderado musicをはじめ、
サカキマンゴー、アグスティン・ペレイラ・ルセーナ、OKI、そしてカルロス・アギーレとほんとに素晴らしいライヴを、ここ岡山の地で開催させていただく機会を得ました。
そして素敵な出会いもたくさんあり、多くの方々のお世話になりました。
ありがとうございます!!

今年はなんといっても、カルロス・アギーレ
グルーポのファースト・アルバム"crema"の国内盤発売を皮切りに、日本ツアー、そして念願の岡山公演が実現できたことは、僕にとっても、moderado musicにとっても大切な一歩でした。なによりも彼をとおして、たくさんの方々に出会う事ができたのが一番の大きな財産!ほんとありがとうございました!

年末ということで、各音楽雑誌でも恒例の年間ベストにならって、moderado musicの年間ベストを15枚ピック・アップしてみました。海外の作品で、今年発表または今年入荷したものを基本にピックアップしました。アギーレを除いて順不同です(笑)。みなさんのベスト作品はなんでしょうか?今度聞いてまわりたいとおもいます(笑)!

※ジャケット写真をクリックすると関連記事にジャンプします。

blancocielo * 雑記 * 18:08 * - * - * - -

Pedro Aznar / A Solas Con El Mndo ペドロ・アズナール★

アルゼンチン・ロック・ミュージシャンで、日本で一番知名度があるミュージシャンといえば、チャーリー・ガルシアでもスピネッタでもなく、80年代のパット・メセニー・グループの参加で一躍注目を集めたペドロ・アズナールということになるでしょう。本作は今年発売されたばかりの彼のソロ・ライヴ・アルバム。ジョニ・ミッチェルの曲にアズナールのスペイン語訳による"Amelia"を皮切りに、クチ・レギザモン=アンヘル・ペレスによる名曲"SI LLEGA A SER TUCUMANA" 『バグダッド・カフェ』で御馴染みの"CALLING YOU"からビートルズの"WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS"まで、英米南米の多彩な楽曲を、ギター、ベース、シンセ、パーカッション等をひとり駆使して歌い上げたソロ・ライヴ。
blancocielo * 音楽:アルゼンチン * 03:52 * - * - * - -

MELOPEA DISCOS: Litto Nebbia / Páginas de Vida Vol.3

MELOPEA DISCOS はリト・ネビアによって、質の高いアルゼンチン音楽を紹介するのを目的に1989年に設立されたレーベル。キケ・シネシモノ・フォンタナカルロス・アギーレ参加作品や、先日紹介したRicardo Capellanoや"UN CAMINO DE SABIDURIA"をはじめとするコンセプト・アルバムなど、もちろんすべてがすばらしいというわけではないと思うのですが、所謂アルゼンチン音響派や昨今のコンテンポラリー・フォルクローレなどに先鞭を打つ、とても興味深い重要な作品を発表しているような気がしてならないのです。

そこで本レーベル・オーナー、リト・ネビアが気になる訳ですが、なかなか手がでない。"UN CAMINO DE SABIDURIA"などでの彼のシンセ使いはとても好きなんですが、彼の自身の作品でのイナタイ・ヴォーカルがちょっとキビシく、あんまいいと思った試しがない(笑)。
けれど遂に手をだしてしまいました。グリーンハウスで中古でワンコイン!だったので、勢いです(笑)!本作は"Páginas de Vida"と題されたベスト・アルバム・シリーズ4作品のなかのひとつ。1曲目からえ〜っ!と驚かされるヒドイ録音。67年のネビアが参加していたバンドLos Gatosのライヴ録音のようです。どうやらコレクターズ・アイテムを手にしてしまった模様(笑)。収録曲は60年代80年代の音源が多く、時代を反映したリト・ネビアの世界を全20曲75分堪能することができます…でも聴いていくうちに、段々耳が慣れてくるんですよね。するとなんだかブラジルのミナスあたりにもこんなサウンドがあったな!?とか、イタリアにもこんな曲あったよな?とか、そんな気がしてくるのです。そうなると楽曲に耳が集中していって、あら、悪くないかも!? いいじゃん!という曲に出くわします。まあ好き嫌いはある訳ですが、聴かず嫌いはよくないことにあらためて気づかされた1枚です。
blancocielo * 音楽:アルゼンチン * 06:00 * - * - * - -

PEDRO ROSSI TRIO / EL VIENTO DANZA ★

Liliana HerreroからEdgardo CardozoGabi La Malfa等とのライヴ・サポートをこなしているブエノス・アイレスのギタリスト、ペドロ・ロッシ。epsaから発表されたリーダー本作は、チャマメ、チャカレラ、タンゴやミロンガなどアルゼンチン・フォルクローレのエッセンスを、ポピュラー・ミュージックに落とし込み、ギター、アコーディオン、クラリネットというトリオ編成でアレンジした10の楽曲で構成。端正で、どこかヨーロピアンな薫りさえ漂わせています。うららかな日差しにそよぐ風のような、淡々と、とても穏やかでいて、どこか熱情を孕んだ好作。
PEDRO ROSSI hp: http://pedrorossi.com.ar/ 
PEDRO ROSSI TRIO myspace: http://www.myspace.com/rossipedro
blancocielo * 音楽:アルゼンチン * 04:30 * - * - * - -

Stephan Micus / Bold As Light (ECM2173)

Stephan Micus はアジア、アフリカ、南米をはじめとする様々な民族楽器の演奏を得意とするマルチ・プレイヤー。様々な国の民族楽器の演奏から、コーラス・アンサンブルまでを全部ひとりでやってのけてしまいます。そうとうな頑固者なのかもしれません。ECMから発表されているその作品の数々は、これといって大きな変化があるわけではないのですが、そのブレのないスタンスに、アイヒャーも口を挟む余地はないようです。民族楽器というと賑やかなイメージがあるかもしれませんが、彼のつくるサウンドはまるで彼の理想郷を音に表現したような、とても静謐な空気感の漂う音。
今年発表された新作"Bold As Light"も然り。スタイルはかわらないんですが、本作は最近の諸作のなかでも個人的にとてもグッときた作品です。それは楽曲に使用される笙、能管、尺八などの和楽器や東南アジアの民族楽器が織り成すフレーズがとても僕の琴線に触れたからかもしれません。僕等の生活から遠く離れていってしまった日本的アジア的な音楽空間を、ドイツのミュージシャンによって気づかされるなんて、なんとも不思議でエキゾチック。

Stephan Micus ECM hp: http://www.ecmrecords.com/
blancocielo * 音楽:ECM * 06:00 * - * - * - -

Ricardo Capellano ★

Ricardo Capellano La Organizacion del Fantasma
En Mundo Cero ★
いや〜びっくり。MELOPEAがきになるなぁ〜とおもっていたら、とんでもないものが、眠っていました。アルゼンチンのギタリストRicardo Capellano の94年の作品です。Egberto Gismonti、Steve Tibbetts〜ECMファンには是非聴いていただきたいアルバムです。プログレッシヴ・フォーク・ジャズとでもいいましょうか!?1曲目は23分、4曲目は35分あまりの超大作(全5曲)。冒頭からムビラとギターの音が聴こえ、リヴァーヴのかかった笛の音、ちょっと怖いヴォーカル(笑)、パーカッションのポリリズムなどが、まるで昼夜森の中を彷徨い歩いているような将にファンタズマな独特の世界をつくりあげています。こういうギタリストのアルバムってEgberto GismontiにはNana Vasconcelos、Steve TibbettsにはMarc Anderson のようにパーカッショニストの役割がとても重要で、本作でもJosé Villalonga というパーカッショニストが大きな役割をはたしています。

Ricardo Capellano / Cartas Al Espectro ★
こちらは95年作品。前作を踏襲した内容ながら、2曲目のマルセロ・モギレフスキーのソロや2つのポエトリー・リーディング、チェロとピアノのデュオなどで構成された全9曲収録。
Ricardo Capellano myspace: http://www.myspace.com/capellano

しかしこの一連のMELOPEA DISCOSの音ざわり、90年代とは思えない録音。どこかザラッとしたこの音色に慣れてきました(笑)。
blancocielo * 音楽:アルゼンチン * 04:42 * - * - * - -

Morydjely Kouyate & Jean-Philippe Rykiel / Tinkiso★

西アフリカはギニアビサウ共和国のグリオ、モリ・ジェリ・クヤテ。ユッスー・ンドゥールやサリフ・ケイタとの共演、チベットのラマとのコラボレートなど、ワールド・ミュージックを軸に、独特のフレージングで魅了してきたフランスのキーボード奏者、ジャン・フィリップ・リキエル(ソニア・リキエルの息子さん)。二人のコラボレーション・アルバム。
しかしなんと凜とした気高い音楽でしょう。歴史と伝統を受け継ぐグリオの血を引くモリ・ジェリ・クヤテのテノールの力強い歌声。そして彼の声を縫うようにしてジャン・フィリップの熱いピアノが駆け抜ける。ヴォーカルとピアノ、二人のデュオが基本ですが、楽曲によってはラテン・アンサンブルや、ひかえめなギター、シンセなどが加わります。ここではアコースティック・ピアノをメインに弾いていますが、絶妙なシンセ使いもジャン・フィリップならでは。

Morydjely Kouyate myspace: http://www.myspace.com/morydjelykouyate

Jean-Philippe Rykiel / Under The Tree
はじめてジャン・フィリップ・リキエルを知った2003年のこの作品。アフリカ音楽をベースにシンセサイザーを使ったサウンドなのですが、どこか捉えどころがない。フュージョン〜ニューエイジ的でいて、シンセ使いもイナタイ・フレージング。とてもイージーに聞こえるんだけど、でもなにかが残る...ひっかかる。そう、あのアルゼンチンのキーボード奏者のファースト・アルバムのような印象。なぜか気になるひとなのですが、日本では知名度はいまひとつ。

Jean-Philippe Rykiel myspace: http://www.myspace.com/jeanphilipperykiel 
blancocielo * 音楽:アフリカ * 16:41 * - * - * - -

André Mehmari / SOLO LOUNGE Beatles ★

来春の来岡公演が待ちどおしい、アンドレ・メーマリがビートルズの普遍的な名曲の数々を、彼の美しいアレンジメントによるソロ・ピアノで綴ったカヴァー・アルバム。この作品、以前同レーベルMCDから"MPBaby"シリーズとして発売された作品を"Solo Lounge"シリーズとして、ジャケットを差し替え、再発売となりました。"MPBaby"シリーズは子供向けだからというとあんまりですが、ジャケットが?な感じだったのですが、少しマシになりました(笑)。メーマリはミルトン・ナシメントの楽曲のソロ・ピアノ集も同シリーズから出しており、とても素晴らしい内容です。こちらの再発も期待です。

BENJAMIN TAUBKIN / SOLO LOUNGE CHICO BUARQUE★
"Solo Lounge"として同じく"MPBaby"シリーズの再発として、ベンジャミン・タウブキンのソロ・ピアノによるシコ・ブアルキ集も発売になりました。
こちらの内容も楽曲に違わず、すばらしい演奏です。
 
blancocielo * 音楽:ブラジル * 03:23 * - * - * - -
このページの先頭へ